Sun, 06/15/2008|おとん 父さん
musicman storeで全曲試聴出来ます♪
田舎から上京してきて音楽でプロになる夢を持つ彼女。本当は田舎暮らしから脱出しただけだったのかもしれないと日頃から自分に葛藤していた。
彼女の夢は一流の声楽家。上京して半年、花の都に憧れ焦がれていたものの、東京の独り暮らしは以外に派手なものではなく、寧ろその逆だった。日に日に寂しさが増し、そんなとき知り合った彼が私を支えてくれた。気付けば同棲生活していたのだが、ある日の事、うちの父さん私を心配してかアポ無しで遠い青森から訪ねて来たのだ。家に入れるのを渋ったが、逆に変に疑われても嫌だし渋々家に入れた訳だ。もうすぐ彼がバイトから帰ってくる。私は焦って、父さんを家から追い出すことにした。とりあえずカフェにでも連れて行き、その間啓介に電話で父さんが来ていることを告げようと考えていたのだ。そして家を出ようとしたとき彼が帰ってきた。
「これはどういう事だ?」
あちゃー!ばれちゃったよ。
「あのね、父さん、これには深いわけがあるの!」
すると啓介が「あっお父さんですか?ぼく朱音と付き合ってる啓介といいます!初めまして!」
「あんたうちの朱音と付き合ってるのか?」
「はい!」
「もう手出したのか?」
「おかげさまで」
「おい朱音こっちに来なさい」
私は何時間も、父さんにこっ酷く叱られ、部屋の隅っこで丸くなり、だたそれを聞き流していた。
途中啓介が入ってきた。「お父さん、朱音が何かしたんですか?」
「いいから君は黙ってなさい!それに君にお父さんなんて言われる筋合いはない!!」
「すみません。お父さん。あっ」
話がややこしくなるので、とりあえず啓介には次のバイトがあるって事で、出て行ってもらった。
父さんが私を怒るのも仕方なかった。あんだけ東京行くのを反対しているのに、絶対音大出て一流の音楽家になって将来父さんを楽にしてあげると言って、一年越しで説得し、無理に出てきたから、父さんの気持ちは痛いほど分かった。父さんは「お前が真剣に音楽やる言うもんだから」と何度も同じ事を言っていた。
私東京になにしに来たんだろう。父さんをこんなにがっかりさせ、帰りの父さんの背中凄く悲しく見えたよ。泣きたかったよ!
ごめんね父さん、今度会ったときには、もっと成長しているから。又遊びに来てね。
そしてありがとう。
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